





2025年10月28日掲載
秋も深まるにつれインフルエンザが例年より2ヶ月くらい早く流行期に入りました。
10月26日休日当番のほとんどの患者さんがインフルエンザ(以後インフル)です。当然、インフルのワクチン接種を希望される方も10月にしてはかなり多くなっています。
一方において新型コロナ(以後コロナ)もインフルほどではありませんが、一定程度の感染者がみられます。こちらはワクチンを希望される方は、ほとんどおりません。
これまでと違って補助金がかなり減額され窓口負担が増えたことが、影響しているかもしれません。コロナ流行に慣れてしまったこともあるでしょう。世間的にコロナワクチン接種に対してかなり懐疑的な風潮があることも影響していると思います。
9月1日付で我が国の呼吸器、感染症、ワクチンの三つの学会が共通の『2025年度の新型コロナワクチン定期接種に関する見解』という文書を発表しました。
結論から言えばワクチン接種を強く推奨するということでした。
新型コロナウイルスは当初の武漢株からアルファ株、デルタ株と極めて感染力、毒性の強い病原体でした。これに対して、ワクチンは2 020年12月からの1年間でかなりの程度のコロナの発症や重症化、死亡率を下げコロナの感染防止に大きく貢献しました。
その後も5類感染症になるまで、全国民にわたって継続してワクチン接種が行われました。
我が国の多施設共同研究によれば、その後オミクロン株に移行した2024年10月から2025年3月までのJN1対応ワクチンでも60歳以上入院予防効果は63%であったとのことです。
確かに現在の流行のオミクロン株は免疫回避すなわち免疫をすり抜ける性質がみられ感染力は強いのですが毒性は低いと言われています。それでも厚労省の発表では2024年のインフルによる死亡者が2855人、なんとコロナでは一桁多く35865人、しかも67%が65歳以上の高齢者とのことでした。
2025年8月の時点で定点医療機関の報告では集中治療室にて人工呼吸管理を受けている人数からみて高齢者とりわけ80歳以上での重症化リスクは依然高い状態が続いていると結論づけております。
若い人にとってインフルは高熱がでて、時に大変辛い病気、一方コロナは軽い風邪みたい、と思われるかもしれません。しかし高齢者にとっては重症化して寝たきりとなり、死亡する確率もインフルよりはるかに高い。したがって高齢者にはコロナワクチンの定期接種が勧められるわけです。
コロナに感染してから長い間、日常生活に支障をきたし、なかなか改善しない方の報告も多い。LongCOVID.と言われますが、ワクチンにて頻度が減少することが報告されています。また高齢者は心臓や呼吸器に障害を抱えている人が多いので重症化を避けるにはワクチンによる予防が必要です。
インフルでもコロナでも予防注射してもやはり感染したとよく言われます。ただしワクチンの重症化を防ぐ効果は期待できます。
もちろんワクチンのリスクはゼロではありません。一過性の副反応からごく稀ながら重篤な健康被害もありうることです。これは、医療行為においては残念ながら避け難い事実です。
その上で疑問点などはかかりつけ医とよく話し合う必要があるでしょう。
かかりつけ医の一人として私は、我が国の専門医集団が科学的評価に基づいた提言を発していることを尊重して、なるべく多くの高齢者の皆様にぜひ新型コロナワクチン接種を受けていただきたいと思います。
理事長 近江 徹広